2015年4月26日日曜日

『妖怪ウォッチが10倍楽しくなる本――妖怪ウォッチのゲーム・アニメ学』を執筆しました!

TwitterやFacebookでお伝えしている通り、『妖怪ウォッチが10倍楽しくなる本――妖怪ウォッチのゲーム・アニメ学』という本を、2月に出版しました。私の初めての単著となります。

本書では、「妖怪ウォッチ」のブームの規模を、ゲーム、アニメ、マンガ、音楽、玩具などのジャンル別に、数字で総合的に示した上で、ブームの要因を
 ・各コンテンツに共通するフィクション世界(2章)
 ・ゲームの仕組み(3章)
 ・レベルファイブの所有資本とクロスメディア戦略(4章)
に分け、社会学(ギデンズ、ブルデュー)やゲーム学(ユール、テイラー)、文化人類学(アン・アリスン)の理論を用いて、また、「ドラえもん」や「ポケットモンスター」などの過去の名作との比較を通して、分析しています。また付録では、日本・世界のビデオゲーム市場や、ゲーム学の動向についても解説しています。

タイトルは、出版社さんの意向もあって柔らかめになっていますが、社会学やゲーム学の概念枠組を使った、ビデオゲームやアニメの研究事例になっています。特に3章は、ゲーム研究者イェスパー・ユールの『カジュアル革命』の枠組を使って、妖怪ウォッチの魅力が、「コアゲーマーより幅広い層の人びとが遊べるように工夫を凝らしている、カジュアルゲームであること」を、分かりやすく解説しています。『カジュアル革命』の解説書&理論の適用事例にもなっていますので、同書に挑む前に読むと参考になると思います。

また4章では、社会学者ピエール・ブルデューの「芸術界」論と「経済界」論や、アンソニー・ギデンズの構造化理論を参照して、レベルファイブの資本と独自戦略、同社の日野社長のキャリアを分析しています。ゲーム会社やアニメ会社の戦略分析にも、応用可能ではないかと考えています。

出版社の三才ブックスさんは、サブカル系の本を手がけられてきた会社で、こうした研究書ははじめて刊行されたそうですが、とても丁寧に対応して頂きました。現在、英語圏に比べ、日本で気軽に読める紙のゲーム研究書を出版することはなかなか難しいので、このような機会を頂けて、とても有り難かったです。

なお、本書は、以下のような点で、読者の方にとって有用である、と思います。
 ・妖怪ウォッチがどんな作品かを知らなくても、作品の魅力が分かる。
 ・2015年の日本を代表するコンテンツ/企業である、妖怪ウォッチとレベルファイブの特異性が分かる。
 ・海外の人に、妖怪ウォッチやレベルファイブについて説明するときに役立つ。
   ※私もすでにフランスの記者さんから取材を受けました(記事1記事2)。
 ・「ゲーム学」や「コンテンツの社会学」の入門書として読める。
 ・全体構成が、ゲームやアニメなどの卒業論文・研究のフォーマットとして参照できる。


さまざまな観点から読める本になっていると思います。よろしければ、ご覧下さい!


以下、目次です。
(「ゲーム学研究の~」というのは、編集者さんがつけたあおり文句ですのでスルーして下さい…)。

--
社会現象にまでなった妖怪ウォッチの大ブーム。
ヒットの要因は何なのか?
社会学・ゲーム学・アニメ学の手法を活用して
ゲーム学研究の第一人者がそのヒミツに迫る!

第1章 妖怪ウォッチとは
 1 妖怪ウォッチとは何か?
 2 「家庭用ゲームが売れない」時代の突然の大ヒット作
 3 ブームの規模――クロスメディア展開による人気拡大の3段階
   3-1 起動期(2011年~2013年)
   3-2 展開期(2014年1月~6月)
   3-3 爆発期(2014年7月~)
 4 ブームの3要因

第2章 ブームの要因(Ⅰ)――フィクション世界
 1 舞台――人間世界と妖怪世界
 2 物語
   2-1 日常の中での「笑い」
   2-2 子ども向けのあるあるネタ――提供のための4つの工夫
   2-3 大人向けのパロディとノスタルジー要素
 3 登場人物
 4 妖怪
 5 妖怪ウォッチと伝統及び現代日本
   5-1 「アニミズム的伝統」の正統継承者としての妖怪ウォッチ
   5-2 妖怪ウォッチから見る現代日本社会
 6 本章のまとめ

第3章 ブームの要因(Ⅱ)――ゲームの仕組み
 1 妖怪ウォッチの二つ目の魅力としての「ゲームの仕組み」
 2 妖怪ウォッチはどういうゲームか?
   2-1 メインクエスト
   2-2 サブクエスト
   2-3 妖怪などの入手と成長
 3 「カジュアルゲーム」としての妖怪ウォッチ
   3-1 カジュアルゲームとは何か?――ユールが考える5つの要素
   3-2 妖怪ウォッチにおけるカジュアルゲーム的特徴
   3-3 カジュアルゲームとして制作された妖怪ウォッチ
 4 「自由度の高さ」という魅力
   4-1 自由度とは何か?――目的の選択可能性
   4-2 妖怪ウォッチの魅力としての自由度の高さ
   4-3 カジュアルさと自由度――「ドラクエ」「ポケモン」との比較
 5 もう一つの楽しさとしてのプレイヤー空間での「コミュニケーション」
   5-1 ビデオゲームと「プレイヤー空間」
   5-2 プレイヤー空間における3つのコミュニケーション
 6 本章のまとめ

第4章 ブームの要因(Ⅲ)――レベルファイブの資本とクロスメディア展開
 1 レベルファイブと妖怪ウォッチ
 2 レベルファイブの設立と発展
  2-1 日野晃博氏のキャリアとレベルファイブ設立の経緯
  2-2 レベルファイブの発展
 3 「生き残り戦略」としてのクロスメディア展開
  3-1 レベルファイブの発展と「クロスメディア展開」
  3-2 特徴(1)――メディア展開の順番
  3-3 特徴(2)――世界設定の管理等に関するリーダーシップと対話
 4 本章のまとめ

終章 妖怪ウォッチの未来
 1 妖怪ウォッチのブームの要因(まとめ)
 2 家庭用ゲームの頂点に立った妖怪ウォッチ
 3 課題――商品投入の速さ、消費者層の拡大、スマホ展開、海外展開
 4 妖怪ウォッチの未来、日本製コンテンツの未来

補論1 ビデオゲームの世界市場の動向と「カジュアルゲーム」の隆盛
補論2 ビデオゲームの面白さ イェスパー・ユールの理論に基づく考察
補論3 「ゲーム学」の現在

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